いろいろな珈琲豆店やカフェなどでコーヒーを試していました。おいしかったコーヒー、苦くて飲めなかったコーヒー、いろいろなコーヒーと出会いました。
そんなある日、ネット検索で見つけた一軒の珈琲豆販売店を訪れます。そこはなんとも古びていて、お世辞にも綺麗とはいえない店。少しためらいましたが、思い切って中へ入ると…「何だここ…、工場???」電動ドリル、万力、ペンチ、スパナ… なんていうか、かなり変わっています。
そしてさらに、出されたコーヒーに目を見張りました。光をきれいに通すほど、濁りがなく透明です。口に含むと見た目どおり、味もすばらしくクリアで雑味のない味。びっくりして店主を見上げると、それは松屋式という方法で淹れられたコーヒーなのだと教えられました。これはぼくにとって運命的な出会いでした。
店主と話をしていると、焙煎まで教えてくれるとのこと。数回通った末、まじめに学ぼうと弟子入りしました。ところが、「焙煎を教えるのは、まずコーヒーのドリップをマスターしてから。安定して上手にドリップ出来るようにならなければ、焙煎の良し悪しが判断できないだろう。」という。なるほどその通りだと思い、それからは来る日も来る日もドリップの毎日でした。いったい何杯の珈琲を飲んだことか…。途中で味なんてわからなくなるくらいです。やっと焙煎を教えてもらう日には、すっかり緊張してガチガチになっていました。
こんな風に始まった「豆家 いほ里(まめや いおり)」。自分の焙煎機を手に入れ、店を始めたのは2014年。豆選びにも、製造工程にも手を抜くことなく工房で自家焙煎し、味、香り、品質、すべてにこだわったスペシャルティコーヒーだけをお届けしています。
おいしいコーヒーとの出会いが、人生を変えることもあります。
どうぞ、おいしいコーヒーと出会って、いい時間をお過ごしください。
豆家 いほ里
店主 伊東雅洋